1. カッティングステッカーとは

カッティングステッカーの基本と選び方を初めての方にもわかる言葉でまとめた入門ガイドです。単色ならではの見え方や施工のコツ、活用シーンを簡潔に解説しています。検討時の下調べとしてご活用ください。

定義と基本特徴

単色フィルムを機械でカット

カッティングステッカーは、塩ビ製の単色カラーフィルムをカッティングプロッターで輪郭に沿って切り抜き、不要部分を取り除いて作ります。文字や図形などのベクターデータを基に精密に加工でき、小さな書体でもエッジがシャープに出せます。印刷工程を伴わないため発色はシート色に依存し、色ごとの貼り分けで多色表現にも対応可能です。制作後は転写シートで一体化し、レイアウトを崩さずに貼り付けられます。

デザインのみが貼り付く

背景フィルムが残らず、文字や図形だけが貼り付くのが最大の特徴です。ガラスや車体色を背景として活かせるため、見た目はミニマルで上質です。余白のテカリや黄変が起きにくく、視認性が高い表示になります。店舗サインや社名・営業時間表示など、情報を凛と見せたい場面に適しています。

屋外使用に強い

屋外耐候性の高いカラーフィルムを用いるため、日射・雨風・温度変化に対して長期掲出が可能です。材質と顔料設計により退色や縮みを抑制し、可読性が持続します。用途や掲出期間に応じてグレードを選べば、ラミネートなしでも十分な実用寿命を確保できます。清掃は中性洗剤を用いると安心です。

構造と仕組み

①転写シート(アプリケーションシート)

切り抜いた要素を仮固定し、位置合わせを容易にする表面材です。粘着力は弱~中程度を選び、フィルムの艶や厚みに合わせて最適化します。貼付後は低角度でゆっくり剥がし、浮きが出た箇所はスキージで再圧着します。大判施工はヒンジ法と併用すると、歪みや気泡のリスクを抑えられます。

②カッティングシート本体

本体は塩ビ製カラーシートで、厚み・粘着剤種・屋外グレードにより性能が異なります。標準・メタリック・マット・反射・すりガラス調など仕上げが選択可能です。グラデーション印刷は不可のため、多色は分割で対応します。内貼り用の反転仕様や、緩やかな曲面に追従するタイプも選べます。

③台紙(剥離紙)

台紙は粘着面を保護する剥離紙で、シリコーン処理により均一に剥がせます。輸送・保管時の埃付着や糊傷みを防ぎ、貼付直前に剥がします。直射日光と高温多湿を避けて平置き保管し、カールを抑制します。剥がす際は、転写シート側に確実に文字が残っているかを確認しながら進めます。

向いている用途

ガラス面のサイン

背景が透けるガラスでは、文字だけが浮かぶような軽さと清潔感を実現できます。営業時間や入口表示、注意喚起に最適です。内貼り仕様にすれば外側の擦れや雨から保護でき、耐久性も向上します。すりガラス調との組み合わせで視線を遮りつつ、ロゴやピクトでブランド性も演出可能です。

車両マーキング

車体色を背景としてロゴや社名、管理番号をシャープに表示できます。曲面対応シートを選べばドアやリア周りにも美しく追従します。施工後24~48時間は洗車や高圧水を避け、その後は中性洗剤で清掃可能です。余白がないため視認性が高く、フリートの統一感やブランド露出の向上にも効果的です。

室内装飾・表示

室内の案内表示、ピクト、装飾ロゴに適しています。平滑な塗装壁やパーティション、什器に施工すると、余白が見えず情報が際立ちます。イベントの一時掲出から常設まで幅広く対応可能です。下地が弱い塗膜は剥離時に傷むことがあるため、テスト貼りや貼付面の状態確認を事前に行うと安心です。