3. 製作工程

カッティングステッカーができるまでの製作工程をやさしく解説します。ベクターデータの準備や反転指定、色選びから、プロッターでのカット・カス取り、転写~梱包・養生までの流れと要点を整理。入稿前チェックや失敗を防ぐ段取りづくりの参考にしてください。

データ準備

ベクターデータ推奨

制作データはAI/SVGなどのベクターを基本とします。文字は必ずアウトライン化し、最細線・最小パーツサイズ、角のRやジョイン形状を確認します。

エンベロープや効果は分割・拡張して単純形状にします。小さすぎる抜きは欠けやすいため、2〜3mm以上を目安に設計します。

反転/貼る面の検討

ガラス内貼りや両面視認が必要な場合は左右反転データを用意します。内貼りは擦れや雨から守れますが、反射で視認性が落ちることがあるため色とコントラストを吟味します。

ワイパー可動域や法規に抵触しないか、貼付面の材質・曲率に応じた分割計画も合わせて検討します。

色指定

色は実在シートから選ぶため、PANTONE等の近似は現物サンプルで確認します。グロス/マット/メタリックなど仕上げ差で見え方が変わるため、掲出環境の照度でチェックします。

ブランドカラーは近似番号を共有し在庫と納期を調整します。屋外では退色耐性のグレード選択が重要です。

カット~カス取り

プロッターでカット

素材厚とフィルム種に合わせて刃角・カット圧・速度・オフセットを最適化します。台紙を傷めないハーフカットを基準に、細線は速度を落として追従性を確保します。

テストカットで剥離性と角の残りを確認し、長尺はパネル分割を計画します。ロールの蛇行や熱伸びも補正します。

カス取り(不要部除去)

不要部は大面積から順に除去し、微細部はピンセットで角を守りながら剥がします。ドットや内側抜きは欠けやすいので予備を用意します。

静電気や埃付着を避けるため湿度管理と帯電防止を実施し、アプリ貼り前に毛羽や糸くずを徹底除去します。冬場は室温を保ち粘着硬化を防ぎます。

品質チェック

完成品は欠け・浮き・ピンホール・カス残り・寸法誤差を点検します。貼付想定レイアウトで仮合わせし、字間・ベースラインの整合を確認します。

左右セットや連番は相互誤差も検証し、必要に応じて再カットします。輸送中に剥がれないよう転写シートの密着を再圧着し記録します。

転写・仕上げ

転写シート貼り

サイズと表面に合わせ紙/フィルム系アプリから粘着力を選定します。中央から外へスキージして気泡を逃がし、保護シート越しに圧をかけて傷を防ぎます。

複数パーツはガイド罫で基準線を作り位置ずれを防止します。内貼りは反転有無と文字の裏表を最終確認してから養生します。

圧着ローラー/スキージ使用

硬度の異なるスキージを使い分け、端部・角部はフェルトで保護して強めに二度押さえします。

ウェット貼りは液を丁寧に押し出して残留を防ぎ、低温時はヒートガンで軽く温め粘着を活性化します。ただし過加熱は伸びや収縮の原因となるため、温度と距離を厳密に管理します。

梱包・養生

完成品は平置きで反りを防ぎ、埃の少ない袋に封入します。転写面同士が貼り付かないよう離型紙を挟みます。

直射日光や高温多湿を避けて保管し、現場では温湿度順応の時間を確保します。出荷ラベルに向き・貼付順・分割番号を明記し、施工後24〜48時間は洗車や強清掃を控える案内を添えます。